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VHS 龍の忍者 日本劇場公開版 (1982) 真田広之 コナンリー 津島要 黄正利ケーシーランキン SHOGUN将軍 香港映画 Ninja in the Dragon's Den

VHS 龍の忍者 日本劇場公開版 (1982) 真田広之 コナンリー 津島要 黄正利ケーシーランキン SHOGUN将軍 香港映画 Ninja in the Dragon's Den

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MOVIE ABYSS 龍の忍者

 JAC(ジャパンアクションクラブ)の秘蔵っ子、
デューク真田こと真田広之の海外初進出作であるこの作品は、香港アクションと日本時代劇の絶妙なマッチがいい味出している映画です。

 男前とアクションの良さでは日本一といっていい映画スター、真田広之が扮する忍者・玄武が、中国へ渡って死闘を繰り広げるというこの作品、香港側が送り出してきたのは「ブルース・リー、ジャッキー・チェンに続く第3の国際スター」と銘打つコナン・リー。見事に1発屋でしたね。
 さて、真田広之が主演なだけに、忍者アクションは数ある忍者映画の中でもピカ一といっていい出来栄えで、しかもカンフーとスタントの香港との合作ですから、ことアクションにかけては相当なレベルの高さです。ただし、カンフーについてはやたらと闘いが続くダラダラ型、1アクション事に動きが止まるパターン型カンフーで、早回しなんかも使っていてあまりよい構成ではありません。真田広之が出ることでアクションが引き締まっているのは香港サイドにとっては皮肉なことといえるでしょう。

(撮影上の都合か、この忍者は明らかに代役。動きがカッコ悪い上にちょっとデブ)
 肝心の話の内容についてはいささか問題があり、登場時のクールで硬派な真田広之の忍者姿を見た時は「おお!」と思うのですが、ヒロイン・あかねが入浴シーンで歌っている鼻歌が「セーラー服と機関銃」の主題歌だと気づくあたりから、この作品にはアヤシイ匂いが漂ってきます(その前に怒った牛魔王が蒸気を吹き出すという場面もあるのですが)。
 はたして予感は見事に的中し、劇中ハッカイという男が抜忍・福佐に「日本語でXXXは?」とたずねたところ、「”なめんなよ”、とでもいいますか」といった途端、画面になめ猫が!!

(問題のシーン)
 これはイカン、これはマズイと思い、もうこの映画はマジメに観ないほうがよさそうだということに気づいてきます。が、そう思った途端、真田広之と伊賀上忍の一騎打ちになったり、抜忍・福佐との対決・そして明かされる過去といったシリアスな展開になってきたので、「さっきのはちょっとしたオフザケだったのかァ」と思っていたら、やっぱりそれは甘い考えでした。

 真田広之扮する玄武とコナン・リー扮する孫靖が最後の敵に相対してのやりとり。
コナン「なにをやるつもりかな。ひょうきん族かな?」
真田 「きっとタケチャンマンを呼んでるんだろう」
・・・う~ん。字幕だけがおかしいのか、それとも本当にいっているのか?忍者映画ですよ!他にもコナン・リーがお茶を飲んで「うまいお茶だ!山本山だね!」というのは明らかに字幕のオフザケなんですが・・・という疑念も次の瞬間には吹き飛んでしまいます。
コニャニャチワ
(全てを台無しにしてしまった問題の1シーン)
 「じゃ、俺はこれで。バイチャ
この瞬間にこの作品はただのアイドル映画に成り下がりました。真田広之のすばらしいアクションも、「シャカニンジャ!」のかけ声が素晴らしい主題歌「The Legend of the Ninja」の一度聞いたら忘れられないメロディも、全て吹き飛んでしまうほどの腰砕けな一瞬です。
 もう完全なるドタバタコメディ(死語)。
突如残酷さを増す映像、東映色がにわかに前面に押し出されてきてハチャメチャな展開の末、最後にはお色気攻撃、リポビタンDネタと支離滅裂に締めくくられていくのです。
突如ボウリングを始めるボス!「ファイトォーッ!」
もうワケわかりません
 玄武と福佐とのやりとり「苦しい・・介錯を・・・!」「・・・・御免ーッ!!」のあたりはかなりいいムードだっただけに、もうちょっとマジメに作れなかったものでしょうか。
惜しい作品です。

映画「龍の忍者」(1982年)の日本劇場公開版と香港公開版の違いは、単なる上映時間の長短やアクションシーンの延長にとどまらず、日本市場特有のローカライズ要素が大幅に追加された点に本質的な特徴がある。ユーザーが指摘する通り、日本公開版では1980年代初頭の日本サブカルチャーや流行語が積極的に織り込まれ、観客の親近感を高めるための明確な市場適応戦略が展開されている。これに対し、香港公開版は原作の香港映画らしい軽快さとアクション中心の純粋さを保ち、余計なローカル要素を排除したコンパクトな構成を維持している。以下で、これらの点を詳細に解説する。
まず、日本公開版独自の流行文化挿入についてである。中盤のコミカルなシーンにおいて、コナン・リー演じる孫靖が初めて覚えた日本語として「なめんなよ」というセリフを発する直後、突然「なめ猫」の写真がカットインされるという、極めて唐突で脱力的な演出が施されている。当時(1981-1982年頃)に日本で大ブームとなっていた「なめ猫」(なめんなよ猫のポスターやグッズ)は、若者文化の象徴であり、映画にこの要素を挿入することで、香港製の武術アクションに日本的なユーモアと親しみやすさを注入しようとした意図が明らかである。この挿入は、物語の緊張を一時的に緩和する役割を果たすと同時に、劇場に足を運んだ当時の日本観客に対して「自分たちの流行を共有している」という一体感を与える効果を狙ったものと考えられる。
同様に、真田広之演じる玄武のセリフ回しにも、当時の日本流行語が多用されている。「ひょうきん族」「タケチャンマン」「バイチャ(バイバイの意で手を振るジェスチャー)」といった言葉が、シリアスな忍者キャラクターの口からひっきりなしに出てくる。これらは、1980年代前半のテレビや若者スラングを反映したもので、特に「タケチャンマン」はお笑い番組やコメディ文化から派生した表現である。これらのセリフは、香港オリジナル脚本には存在せず、日本公開版の吹き替え・追加収録時に意図的に挿入されたローカライズ要素である。結果として、玄武の冷徹な忍者像に軽いコミカルさが加わり、孫靖とのコントラストを強調するとともに、観客の笑いを誘う狙いがあった。ただし、一部の批評では「シリアスな復讐劇の文脈でこれらの言葉を連発する必要性があるのか」との疑問も呈されており、日本市場向けのサービス精神が強引に感じられる側面もある。
これらの流行要素の追加は、日本公開版の上映時間延長(約112分)と連動している。香港公開版(約95分前後)のコンパクトなテンポを崩さず、かつ日本観客の娯楽性を高めるために、こうした短いカットやセリフが散りばめられた。東映の配給戦略として、忍者映画というジャンルに日本的な「親しみやすさ」を重ねることで、国内での興行成績向上を図ったものと推察される。
次に、声の吹き替えに関する違いである。日本公開版では、真田広之本人が玄武の声を担当している。これは真田の海外進出第1作目という位置づけを考慮した、特別な配慮である。本人吹き替えにより、アクションのキレや感情のニュアンスがより直接的に伝わり、キャラクターの一体感が増している。一方、香港公開版(および多くの国際版)では、広東語や英語音声が主体となり、真田のオリジナル声は使用されないか、別途吹き替えが施される。コナン・リーの孫靖役も、日本版では石丸博也などの声優が担当し、全体として日本語吹き替え版として完成されている。この違いは、単なる言語適応を超え、日本版が「真田広之主演映画」として強くプロモートされたことを示す証左である。
エンディングの扱いも、両バージョンの性格を象徴的に表している。香港公開版では、クライマックスの最終決戦後にストップモーション(静止画)で「劇終」(または同等の終了表示)が表示され、シンプルに幕を閉じる。これは香港映画の伝統的な締めくくり方で、余韻を残さず次なる上映に備える実用的なスタイルである。これに対し、日本公開版ではその後に主題歌が流れ、エンディングクレジットが展開される。主題歌はAlfredo Chen Singersによるもので、物語の情感を締めくくり、観客に余韻を与える日本映画らしい演出である。この追加により、日本版は全体としてより「映画らしい」完成度とエモーショナルな印象を強めている。
これらの差異は、1980年代の香港映画が日本市場に進出する際の典型的なパターンである。香港オリジナルはアクションのスピードとユーモアの軽快さを優先し、国際的な汎用性を保つ。一方、日本公開版は東映の判断により、国内のサブカルチャー(なめ猫ブーム、お笑い流行語など)を積極的に取り入れ、吹き替えやエンディングを日本向けにカスタマイズした。結果として、日本版は「シリアスアクション+日本的サービス精神」という独自の味わいが生まれ、香港版は「純粋な香港武侠アクション」という本来的な魅力を保っている。
さらに補足すると、日本公開版のこうしたローカライズは、クレジット表記(真田広之を最上位・赤テロップ強調)や寺院戦などのアクション拡張と相まって、全体として「日本忍者映画」としてのアイデンティティを強化している。逆に、香港版では真田の位置がやや控えめで、アクションのショートカットも見られる場合がある。これらのバージョン差は、現代では稀少なプリントやソフトでしか確認できないが、作品の多層性を理解する上で極めて重要なポイントである。
総じて、ユーザーが指摘した要素——なめ猫の挿入、流行語の使用、真田広之本人の吹き替え、香港版のストップモーション「劇終」に対する日本版の主題歌エンディング——は、日本公開版が単なる翻訳版ではなく、積極的な「日本化」を施した証である。これにより、本作は日中合作の枠を超え、1980年代日本映画市場の娯楽戦略を体現する興味深い事例となっている。両バージョンを比較視聴することで、映画が公開される文化圏によってどのように変容するのか、そのダイナミズムを実感できるであろう。こうした適応の歴史は、東アジア映画のクロスカルチャー交流を研究する上でも、貴重な資料を提供している。